ワーグナーって台風っぽい

ということを昔いつだったか思った。あの変に胸がいっぱいになって怖くなる感じが似ている。

 

雨風が窓を叩く音に6時ごろ起こされ、外を見て事態の凄まじさに驚きあきれた。

まさに暴風雨という感じで、寮の前の森はぐねんぐねん体を揺らして荒れ狂っていてその中で、職場の緊急連絡網をヤキモキしながら待ち望んでいた。待てども待てども鳴らない、電話。「え、ほんとに出勤すんのかよ」と絶望仕掛けた所で、ようやくなる電話。待機指示。内容は来れそうと思ったら来て、というアバウトな指示。ともかく、これでやった午前中は寝て過ごせると小躍りしたのも、小学生に帰ったような心地がした。

高校や大学はよくサボっていたので、台風が来ても、「ほーん」という感じだったが、何の疑いもなしに義務教育を遂行していた小・中学生時代は台風を天からの恵みのように有り難がった。

今、その時分には想像もつかないような世界、社会人というものになり、自らの意思で結んだらしい雇用契約に沿って一つの義務として労働する。義務的に、足を運んで、定められた建物に通う。小中の自分と見かけの上では似たようなものだけど、本質的にも同じであることは、台風に純粋に喜んでいることが表してくれているようだ。